これまでの農業は家族経営が主流でした。労働に従事するのは家族のみの農業の場合は労務管理の必要はありませんが、農業経営構造の変化に伴い、家族以外の労働者を雇用する経営が増えており、労務管理が大きな課題になっております。
規模拡大や加工・販売に取り組む農業経営者にとって、経営を支える人材としての労働者を育成し長く働いてもらうことは、経営発展のためにもますます重要になります。
労務管理とは、従業員の能率を長期にわたって高く維持し、上昇させるための一連の施策をいい、具体的には、従業員の募集・採用から始まり、賃金や労働時間の管理、人事考課、教育・研修、昇格・昇進、異動・配置、昇給・賞与、退職・再雇用に至るまで、従業員に関する全ての施策となります。
こうした労務管理が適正に行われるよう、労働基準法をはじめとした各種法令において、労務管理に関するルールが定められており、従業員を1人でも雇用した場合、これらの法令の適用を受けることになります。
このホームページでは、従業員が安心して働くために、使用者が守らなければならない労務管理のルール等について紹介します。
優れた人材の定着、育成のため、ぜひご参照下さい。
●労働契約
使用者は、労働者に対して重要な労働条件を書面で示し、労働契約を締結する必要があります。
労働条件は、原則として労働者と使用者の合意により決定しますが、労働基準法で定められた最低基準(労働条件に関する基準)を下回る場合は無効となり、労働基準法で定める基準となります。
明示しなければならない事項は次のとおりです。
- 労働契約の期間(期間の定めがない場合は、「期間の定めなし」とする)
- 仕事をする場所及び仕事の内容
- 仕事の時間や休みのきまり(仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、交代制の場合の勤務のローテーション)
- 賃金支払いのきまり(賃金の決定、計算と支払方法、締切と支払時期)
- 退職の場合のきまり(解雇の事由を含む)
●安全衛生教育
農業には、農業機械や農薬の利用など、危険を伴う作業があります。
労働者を雇い入れたときや作業内容を変更したときは、使用者はその業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければなりません。
教育すべき事項は次のとおりです。
- 機械・原材料等の危険性又は有害性及び取扱方法
- 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及び取扱方法
- 作業手順
- 作業開始時の点検
- 業務に関連して発生する恐れのある疾病の原因及び予防
- 整理・整頓及び清掃の保持
- 事故時における応急措置及び退避
- その他、自己の健康管理の重要性など