会長就任にあたって

就任にあたり、農業委員、農地利用最適化推進委員を始め、関係機関・団体の皆様方に謹んで御挨拶を申し上げます。日頃より、本会の業務推進につきましては特段の御支援・御協力を賜っておりますこと、厚く感謝申し上げます。
 今年3月に国では食料・農業・農村基本計画の見直しが行われ、人・農地プランの実質化や農地中間管理事業の強化が叫ばれている中、今年度は、各地域において、地域農業マスタープランの集中取組期間の最終年度となっているところです。
 しかし、こういう時期にコロナウイルス問題が勃発いたしました。国内だけでなく世界の食料需給に大きく影響する状況になってきております。

 国内においては、飲食店が米を買わないなどの影響からコメ余りの現象が出ておりますが、我が国の食料自給率の実態は4割を切っており、先進諸外国の中で最低であります。
また、アフリカなど発展途上国では食べ物が無いことから世界の飢餓人口は爆発的に伸びております。大変、危険な状況ではないでしょうか。本県もつい150年前には食糧がなく南部藩では百姓一揆が勃発しておりました。
 そんなことを考えていたとき、宮沢賢治が約100年前に農民芸術概論の中で言った「われらに要るものは、銀河を包む透明な意志、巨きな力と熱である」というフレーズが頭をよぎりました。賢治は今の時代を予想していたのでしょうか。銀河を包む透明な意志とは、どういうことなのでしょう。
 我々が農地を守っていくというのは、命を守っていくということではないのでしょうか。
 貴重な農地を守って、次代につなげていくことは大変な苦労を伴いますが、誰かが先頭に立って進めなければなりません。今はたいへんな時期でありますが、そんな時こそ、将来の進むべき姿を考えてみてはいかがでしょうか。
 本会は、今後とも、農業者が将来に夢と希望を持って農業に取り組むことのできる農業・農村の構築に向け、農業委員会とともに尽力して参りますので、関係各位のなお一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます

令和2年7月

一般社団法人岩手県農業会議
代表理事会長 杉原永康
(すぎはら えいこう)