岩手県農業会議会長 新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。皆様には、ご健勝で清々しい新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。

 昨年を振り返りますと、農業委員会系統組織にとっては、何と言っても改正農地法等の本格運用に取り組んだスタートの一年でありました。また、国においては、食料・農業・農村基本計画に基づき戸別所得補償モデル対策が実施されました。そして、気象庁の予想に反して、記録的な猛暑に見舞われ、農畜産物がさまざまな影響を被るとともに、米価が一段と低落し農業者は極めて厳しい状況におかれました。

 こうしたさ中に、TPPが急浮上し、全国で大きな問題になっておりますが、私どもも、昨年11月に開催した第55回農業委員大会において断固阻止の決議を行ったところです。

 昭和の農業経済学者で東京大学の教授をされた東畑精一氏は、「農政は実験ができない。時計を止めないで修理するような政策でなければならない」と有名な言葉を残しておりますが、一度失敗すれば取りかえしのつかいないことになるので慎重のうえにも慎重でなければならないと訴えております。重大な関心をもって今後の推移を注視して参りたい。

 他方、世界農林業センサスの結果が公表され、全国、本県ともに、従事者の大幅な減少や高齢化によって就労構造が急速にぜい弱化しており、また、農水省の別の調査では、2009年の農業産出額が引き続き減少し、農業は、まさに縮小再生産に陥っております。

 こうした現実をふまえ、本県においては、TPPとは全く別問題として、関係機関・団体が一体のもとに、農業の再生に向けた一大全県運動に取り組む時であると考えます。

 本年は、農業委員会法が昭和26年3月に制定されて以来、60周年の記念すべき大きな節目であり、また、農業委員の統一選挙が行われます。 

 今年の干支は兎、「兎の上り坂」の諺があるが、兎は坂上りを得意とします。私どもは、これまでの永い歩みを振り返り、また、先人の英知と努力に思いをいたしながら、今日の農業・農村問題は、急峻で困難な坂ではあるが、地に足を踏ん張って与えられた責務と役割を果たして参らなければならないものと決意を新たにしております。関係各位のご指導とご支援を切にお願いします。

新しい年が皆様にとりまして良い年でありますようご祈念申し上げご挨拶といたします。

12-1

岩手県農業会議
会長 佐々木正勝