2.法人経営の特徴と利点
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- 2.法人経営の特徴と利点
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法人経営は個人経営や任意組合と違って税法上をはじめさまざまな利点があります。
主な特徴点や利点を整理すれば次のようになるでしょう。
ここでとくに強調したいことは、法人の代表者は経営者であるということです。
単にものを生産するだけでなく、販売、購買、コスト管理、農作業管理、労務管理、経理等経営全般に目を通しての経営の舵取りが要求されます。
- 経営責任に対する自覚が生まれ、経営者としての意識改革が図られる
- 対外信用力が向上し経営の多角化や他業種との連携による経営発展が期待される
- 地域の雇用の場が拡大される
- 農地の利用集積が出来、安心して農地を預けることができる
- 継続的・安定的な経営主体となれる
- 積み立てが可能になり、機械の更新時に構成員に負担をかけずに更新が可能になる
- 利用権を設定することにより地域全体としての農地管理が可能になり、効率的な土地利用ができる
- 農作業能率の向上にともなって生ずる余剰労力を活用することにより、園芸等の産地づくりが可能になる
- 雇用により他産業からの優秀な人材を確保することができる
参 考農業経営の法人化推進の必要性
- 農業が産業として自立するためには、経営計画、生産、販売、労務管理、経理記録、分析等の「経営管理」業務が必要であり、このためには、法人化が有効である。
- 多角化等による技術・経営革新に対応するためには「家族で果たし得る経営能力」の限界を越える時代となりつつある。多様な人材を確保・活用し得る法人化が有効である。
- 経営規模の拡大、複合化、多角化等を勧めるためには、既存の多様な産業、さらに生活者と連携・提携する必要がある。このためには法人化が有効である。
- 「家を経営単位」とした時代から「個人を単位」とした時代へ変わろうとしている中、農家子弟による経営継承だけでなく、新たな継承の手法として法人化が有効である。
- 農業経営の継承においては、「農地と経営を一体」とした継承が重要であり、このためには、法人化が有効である。
- 農村の担い手不足と急速な高齢化に対応し、農業を志す人材を受け入れ、育成するためには、法人化は有効である。
- 明確なルールを求める「若者のニーズ」や「女性の地位向上」に対応できる農業経営のためには、法人化が有効である。
- 集落における生産機能に代わり得るシステムとして法人化は有効である。
- 多様化した農業構造を明確にするためには「経営(専業)」と「自給(兼業)農業」を政策的に整理する必要があり、国民に分かりやすい「経営農業の担い手」として、法人化が有効である。
「日本農業法人名鑑」p.58