
葛巻町農業委員会では昨年度、町内全域の遊休農地調査を行ったが、今年はその解消活動の一環として遊休農地解消モデル展示圃を設け、7月21日に農業委員全員でそばを作付した。
この展示圃は、長年耕作が放棄され雑草や柳で覆われていた遊休農地を農業委員が自ら自分たちの機械を持ち寄って整備し、みごとな農地に復元したもの。
蘇った農地を見て、農地を借りたいという人が出てきたり、周辺の遊休農地の草刈りを所有者がするようになったりするなど、波及効果がもう出てきている。
今回の取り組みの中心となって活動し、この地区の担当でもある天摩農業委員は「農地委員長になったのをきっかけに何か行動したいと思い実行したが、やって本当に良かった」と語っている。
展示圃場には、農業委員会事務局手作りの大きな目立つ看板を設置し活動をPRしており、今後は他の地区にも展示圃場を作り、さらに遊休農地解消の機運を盛り上げる計画だ。
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遊休農地を活用し、「ふれあい市民農園」を開設
農業委員が主体となって地域を巻き込んだ市民農園の運営
紫波町農業委員会は、農業委員会活動の一環として、町内の遊休農地の調査を実施している。耕作放棄地は146haと経営耕地面積4,846haに占める耕作放棄地率は2.9%だった。借手を探したがなかなか見つからないのが現状だった。遊休農地の解消方策と有効活用について協議を行ってきたが、平成14年度に遊休農地解消手法の具体策の一つとして市民農園の開設を計画した。農業委員会では基本方針として、1.市民農園には遊休農地を利用すること、2.開設から管理まで農業委員の活動の一環として行うこと、を定めた。
開設を実現に結び付けるため、農業委員会内に市民農園検討委員会を設置し、小委員会形式で候補地の調査や選定を行ってきた。
候補地は町内彦部地区の休耕田3,888平方mに決定したが、この休耕田は10年以上耕作されていなかったため、農地としての復元整備作業には早朝のボランティア作業も含め農業委員全員が除草、耕起等の簡易土壌改良作業にあたった。また、市民農園として使用するには畑地化が必要なことから、水はけを確保するため県農業公社の協力を得て暗渠排水を行っている。
候補地選定や整備作業は利用予定者等にも呼びかけ市民農園開設にあたっては農業委員だけが作業したわけではない。農業委員会活動の新たな試みとして、農園利用予定者に対しても候補地の選定を働きかけて現地見学会とアンケートを行い、参考にしている。
また、畑地化整備作業についても、農地所有者はもちろんのこと農園利用予定者にも呼びかけた。
さらに開園後、利用者をサポートするため、農園周辺の地区住民に無報酬の栽培相談員を依頼し、配置。農業委員を核にして、まさに農園利用者と地域住民の”ふれあいの場”となっており、都市と農村との交流にも一役買っている。
公募人気、枠拡大へ最初に設置したふれあい農園の開園式は、平成15年4月19日に同町彦部の現地で行われた。式典には利用者をはじめ、準備に汗を流してきた農業委員、地元相談員ら約70人が参加して農地引き渡し式や入耕式を行うなど、開園を祝った。
区画数は24区画で一区画は50平方m。市民農園整備促進法の適用による区域指定の認定を受け、用具庫を含む簡易休息所や簡易トイレ、駐車場やコンポストも併せてを整備した。
初年度は公募枠を超える申し込みがあったため、隣接地に16区画を増設し平成16年度申し込み向けには都合5,872平方mを40区画に整備し8月に公募を開始。一人2区画申し込むケースもあったが、全区画が予約済となり、平成16年4月に引き渡しされる。
ページのトップへ遠野市農業委員会の遊休農地対策は、平成12年度くらいまでは散発的であったが、平成9年度に農業委員会が実施した遊休農地調査の結果(約41haが耕作放棄)やシミュレーションによる農業従事者の減少傾向に危惧を感じた同市農業委員会は、本格的な遊休農地対策に乗り出した。平成13年6月に農業委員会内に遊休農地解消対策検討委員会を設置。現状の点検から復旧整備費用のシミュレーション、遊休農地利活用にあたって考察される作物別費用や粗収益額等の比較まで盛り込んだ解消推進マニュアルを策定し、組織的な活動実効計画も立てて実行している。
なお、平成14年4月に作成した「遠野地域農業再生運動」推進要領において運動の具体的内容を掲げているが、3つの重点事項のうち、農地の確保・保全活動の推進項目として「遊休農地・耕作放棄地の実態把握と有効利用の推進」を挙げ、実践計画においても掲げている。
地区担当制を実施したことにより、部分的ではあるが、遊休農地の解消に向けた動きが目立ってきた。個々に担当地区の農地パトロールを実施した結果を、情報として近隣農業委員と交換し合う。数人で現地を確認し、所有者も確認する。解消の予定時期を定め、その場所に適した作目導入の相談も含め、親戚や担い手農家への集積を目指して行動を展開している。
遊休農地解消実践事例フキ栽培を通じた遊休農地解消活動(計2筆 約43a)

いわて地域農業再生運動現地研修会での視察の模様
遠野町地区では平成12年度までに実施した耕作放棄地等の状況調査終了後、同地区の解消方策のひとつとして平成13年、調査に携わった同地区の農業委員3名が発起人となって「百生夢創会(ひゃくしょうむそうかい)」を立ち上げた。
農家18戸と生活改善グループなど3団体でつくったこの会は、「長生きして夢を語れる農業を」との思いを込めて名付けられた。
会の事務局長は認定農業者でもある伊勢高之農業委員で、同年5月、当該農地を6年の利用権設定により賃貸借している。
借りた農地にはミズフキを植えた。労力のかからないミズフキを栽培することで「農地を守りながら収益をあげる」試みである。単年度では無理でも、中期的には関係者が儲からなければ活動は続かないとの思慮もあった。
牧草地として利用集積した遊休農地解消活動 (計3筆 約1.5ha)青笹町地区の平坦部にある優良農地だったが、高齢化と後継者難から長年雑草地化していた遊休農地を農業委員会が重点地区として位置付けた。平成13年に同地区の4人の農業委員が中心となって地権者の同意を取り付け、受け手となる認定農業者の酪農家と結び付けた結果、農地を借り受ける酪農家が大型農機で雑草をすき込み、みごとな牧草地によみがえった。
年内解決をと期限を定め、集中的に取り組んだことが成果に繋がった。
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