久慈市農業委員会
実態調査により地図化。アンケート調査により意向把握も
1.宇部地区で実態調査と事業活用(平成9年度〜10年度)
久慈市農業委員会は平成9年度、宇部町地区において遊休農地の実態調査を行っている。当時、水田面積は120ha、水田所有農家118戸の零細農家で、ほとんどが兼業世帯であることから農地の遊休化が目立ってきた。このため久慈地方振興局、市、農業委員会、宇部農協の各関係機関による対策会議を開催した。
対策の実施はまず、農業委員会と農協で、水田全筆の現地調査を行い、図面に落として遊休農地マップを作成。マップから所有者の住所、氏名、農地面積等を洗い出した結果、9haの遊休農地が把握された。
次に、この実態調査結果に基づき全戸を対象にしたアンケート調査を行った。アンケート用紙の回収には、農協の農家組合長があたった。意向調査の結果から、経営規模縮小意向が3戸、規模拡大意向は全く無く、そのほかは現状維持意向であった。遊休化の原因については労働力不足が22戸で最も多かった。次いで9戸が転作を要因としている。
現地調査と意向調査を終えた後、地区説明会を行い、平成10年度において雑木の抜根・除去、農地の貸借・売買等のあっせん、耕地の維持と景観植物等の播種事業を行うこととした。
景観植物としては、菜種を播いている。
事業別内訳 | 財源別内訳 | ||
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農村景観復元対策事業 | 4,100千円 | 活性化調整費補助 | 3,150千円 |
農用地あっせん促進事業 | 150千円 | 久慈市の補助 | 1,275千円 |
調整地維持対策事業 | 1,500千円 | 地元負担 | 1,325千円 |
合 計 | 5,750千円 | 合 計 | 5,750千円 |
2.計画的な全域調査とマップ化(平成14年度〜)
農業者の高齢化と後継者不足、農産物の価格低迷などの理由から市内全域で増加傾向にある遊休農地を解消し、優良な農地を保全するため農地部会では、市内各地の遊休農地について現地調査と所有者の意向調査を実施した。
平成14年度は4地区の現地調査を行い、そのうち2地区の意向調査を終えている。
平成15年度は1地区の現地調査と3地区の意向調査を行い、宇部、長内、小久慈、夏井および侍浜地区は地目、面積、所有者を特定し、台帳化のうえ図面に落としている。
地区名 | 筆 数 | 面 積(m2) |
---|---|---|
宇 部 | 9 | 14,953 |
長 内 | 107 | 43,840 |
小久慈 | 55 | 31,491 |
夏 井 | 7 | 13,935 |
侍 浜 | 28 | 53,255 |
計 | 206 | 157,474 |
意向把握の結果、貸したり売ったりしても良いとの回答もあり、借り受け者が出てくれば斡旋したいが、接続道路が無かったり耕作条件の不良な農地が多いため農地としての再利用は困難な案件が多い。