岩手県農業会議


大船渡市農業委員会
ラベンダー園による遊休農地再生と展示圃場設置


狭小な農地が多い大船渡市は、農業従事者の減少・高齢化・後継者不足等担い手の問題も加わって遊休農地が増加している。

同市は農業委員会をはじめとする関係機関等と有機的に連携しながら創意工夫を凝らし、多種多様な取り組みのもと、成果を収めている。

1.景観形成モデル事業の活用によりラベンダー園として再生(平成10年度)〔農業委員会活動外事例〕

市内末崎町の三十刈地区では100aの遊休農地をラベンダー・ハーブ園に再生させた。

この取り組みは、「気仙フラワーランド構想」実施の一環として平成9年5月、「世界の椿館」がオープンしたことに伴い、各地から訪れる来館者の目に触れる荒れた遊休農地を無くしたいとの地域住民の要望があがり、大船渡地域農業改良普及センターが景観形成作物緊急導入増殖事業として「ハーブで飾る景観形成モデル事業」(県事業)に着手したもの。

100aという限られた面積ではあったが、遊休農地の解消と景観形成の向上を図るという初期の目的が見事に達成され、荒れていた農地の雰囲気を一変させた。

地区公民館が中心となり毎年「ラベンダー祭り」を開催する等、遊休農地活用のモデル的存在となった。

2.解消促進に向けた展示圃場の設置(平成15年度)

農業委員会がかかわった解消対策として、展示圃場2ヶ所の設置事例がある。

この取り組みは、農業委員会から推薦された団体が県から委託を受けて事業実施主体となり、遊休活用事例を紹介するための「展示圃場」を設置することを内容とした遊休農地等活用促進事業を活用したもので、市内2ヶ所を選定し看板を設置し周知を図っている。

○ 全住民協議会の設立で野菜・ソバ・景観植物を作付

2ヶ所のうち1ヶ所は、山間地に位置する平山地域。

同地域では48世帯の全住民からなる協議会を設立して30aの遊休農地を耕起した。

耕起した農地にはネギ等の野菜と蕎麦を栽培している。

また、景観植物として菜の花やレンゲソウ等の植栽を行い解消と利活用に結び付けている。

来年は大勢の参加で賑わう地域の「ひらやま夢まつり」で、収穫野菜の販売を予定している。

3.白地図活用による実態把握調査(平成15年度〜)

大船渡市では様々なモデル事業の導入により遊休農地解消に成果をあげているが、総体としては遊休農地の増加に歯止めがかからず、農業委員会としても積極的に取り組みを進めることとした。

具体的には遊休現況把握を行い、さらに個別の対応方法を検討することとし、10月から16年度まで継続する実態把握調査に着手した。

調査方法は、農業委員全員に担当地区内の白地図を配布し、それをもとに担当地区内農地の1筆毎の現況を調査・記入する方式としている。

白地図は市税務課保有の集成図をコピーし、必要事項を追記したものを使用している。

調査終了後は、専門委員会での討議を重ねながら利活用方策を検討する予定にしている。