藤沢町農業委員会
農業委員による継続した遊休農地解消実践活動
1.農地パトロールの実施
藤沢町農業委員会は、遊休農地、耕作放棄地の解消と農地の無断転用防止を重点項目に「農地パトロール強化月間」の設定と合わせ、有線放送とパトロールを通じて現況把握と地域住民への啓発活動を行っている。
実施にあたっては、農地専門委員会の作成した実施要領に基づき、旧村単位に地区委員全員が参加し、終了後は地区毎の状況報告と事後指導策について農業委員会での検討を行い、集落座談会での啓発や個別指導によって貸借関係に繋がるなど着々と成果に結びついている。(平成10年度)
これらの活動は毎年実施している。残念ながら担い手不足により流動化実績は少なくなってきているが、根気強く継続して「行動する農業委員会」を実践している。
2.農業委員による継続した遊休農地解消実践活動
(1) 小学校の隣接遊休農地を借りた実証圃場の取り組み(平成10年度)
県農業会議と共同で実施した遊休農地把握調査の結果を踏まえ、町内に増加する遊休農地、耕作放棄地の現状に将来の町農業の振興に不安を感じた農業委員会は、解消策に向けた積極的な取り組みの必要性を強く感じ、まず自分たちでできることから手がけることで委員全員の意見が一致した。
その方策としては、遊休農地を借り受け利用することとした。
対象地の選定にあたっては、条件や要件を検討した結果、環境保全と景観保全の視点から小学校に隣接する遊休畑16アールに決定した。
畑は委員個人で3年間借り受けたが、委員全員がサポートした。
実証用の作付作物は、二種兼業農家が多い地域の環境を踏まえ、また、将来的には担い手農家や周辺農家への利用集積を考慮しながら、手軽に生産できる作物を選定した。
春はトウモロコシ、秋は白菜を作付けし、栽培から出荷まで委員全員で行った。
当該農地は現在、所有者が保全管理している。
(2) モデル地区への梅の植栽活動(平成15年度〜)
平成15年3月下旬の午後、梅栽培組合員、全農業委員、事務局総出で130アールの遊休農地へ300本の梅の苗木を3時間で植栽した。
これまで、県内の梅栽培農家を視察するなど農業委員会において遊休農地活用に向けた梅の植栽について検討を進めてきた。
町の事業活用により、梅の苗木の助成を受けられることとなったことから、農業委員会での協議検討事項が具体化することとなり、平成14年、遊休農地地区の担当農業委員の呼びかけにより梅栽培組合が設立され、組合員とともに農業委員自らブルドーザーにより萱野の整地を行い、農業委員会長がトラクターによりロータリー作業を行うなど準備を行ってきた。
葉たばこ廃作後、遊休地化した畑は萱野となり、場所によっては小木や茨、笹竹などが生い茂り荒廃地化した状況となっていた。
萱野となった畑は、景観上も好ましくなく、将来一面の花咲く梅畑を楽しみに、農業委員の植栽作業の手に力がこもった。
遊休農地を活用した梅の植栽は、200本づつ三年間、別々のモデル地区に実施を計画した。農業委員が中心となり地区への働きかけを行うとともに、梅の加工や販売についても農業委員会において検討協議を進めている。
平成16年3月にも110アールの遊休農地に200本の梅の苗木を植栽している。
解消面積としては決して大きくないが、農業委員会が目に見える活動をすることによって、地域住民への意識啓発と波及効果が期待される。
(3) 市民農園の設置に意欲
そのほかの取り組みとして農業委員会では、2〜3反歩の葉たばこ廃作後の遊休農地に市民農園を設置しようと現在、地区担当農業委員と所有者、地域との話し合いを進めており、候補地の選定作業に取りかかっている。