紫波町農業委員会
遊休農地を活用し、「ふれあい市民農園」を開設

農業委員らによるボランティアの農地整備作業
1.農業委員が主体となって地域を巻き込んだ市民農園の運営
(1)検討小委員会を設置し、市民農園の具体化を推進
紫波町農業委員会は、農業委員会活動の一環として、町内の遊休農地の調査を実施している。
耕作放棄地は146ヘクタールと経営耕地面積4,846ヘクタールに占める耕作放棄地率は2.9%だった。
借手を探したがなかなか見つからないのが現状だった。
遊休農地の解消方策と有効活用について協議を行ってきたが、平成14年度に遊休農地解消手法の具体策の一つとして市民農園の開設を計画した。
農業委員会では基本方針として、1市民農園には遊休農地を利用すること、2開設から管理まで農業委員の活動の一環として行うこと…を定めた。
開設を実現に結び付けるため、農業委員会内に市民農園検討委員会を設置し、小委員会形式で候補地の調査や選定を行ってきた。
候補地は町内彦部地区の休耕田3,888m2に決定したが、この休耕田は10年以上耕作されていなかったため、農地としての復元整備作業には早朝のボランティア作業も含め農業委員全員が除草、耕起等の簡易土壌改良作業にあたった。
また、市民農園として使用するには畑地化が必要なことから、水はけを確保するため県農業公社の協力を得て暗渠排水を行っている。

遊休農地を整備してできた市民農園
(2)候補地選定や整備作業は利用予定者等にも呼びかけ
市民農園開設にあたっては農業委員だけが作業したわけではない。
農業委員会活動の新たな試みとして、農園利用予定者に対しても候補地の選定を働きかけて現地見学会とアンケートを行い、参考にしている。
また、畑地化整備作業についても、農地所有者はもちろんのこと農園利用予定者にも呼びかけた。
さらに開園後、利用者をサポートするため、農園周辺の地区住民に無報酬の栽培相談員を依頼し、配置。
農業委員を核にして、まさに農園利用者と地域住民の”ふれあいの場”となっており、都市と農村との交流にも一役買っている。

豆のでき具合をみる農地流動化推進員
(3)公募人気、枠拡大へ
最初に設置したふれあい農園の開園式は、平成15年4月19日に同町彦部の現地で行われた。
式典には利用者をはじめ、準備に汗を流してきた農業委員、地元相談員ら約70人が参加して農地引き渡し式や入耕式を行うなど、開園を祝った。
区画数は24区画で一区画は50m2。市民農園整備促進法の適用による区域指定の認定を受け、用具庫を含む簡易休息所や簡易トイレ、駐車場やコンポストも併せてを整備した。
初年度は公募枠を超える申し込みがあったため、隣接地に16区画を増設し平成16年度申し込み向けには都合5,872m2を40区画に整備し8月に公募を開始。一人2区画申し込むケースもあったが、全区画が予約済となり、平成16年4月に引き渡しされる。